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初の登録支援機関許可取消:グランウェイ事件から学ぶ、信頼と法令遵守の重要性

はじめに


2020年8月、名古屋市中区の人材派遣会社「グランウェイ株式会社」が、特定技能の登録支援機関としての許可を取り消される初めてのケースとなりました。原因は「虚偽の書類提出」、具体的には本人署名欄を無断で代筆するなど、法令遵守を欠く行為が複数回にわたって行われたというものです。この記事では、この事件の概要を整理し、同じ過ちを犯さないための実務的教訓と対応策をまとめます。


グランウェイ事件の概要

  • 会社名:グランウェイ株式会社(名古屋市中区、人材派遣業)

  • 許可登録:2019年5月、特定技能支援の登録支援機関として許可取得。

  • 取り消し年月日:2020年8月19日。許可取り消し処分を受けた。

  • 違反内容

    • 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の外国人従業員等に関する支援申請などで、本人署名が必要な箇所を会社が代筆して虚偽の書類を提出。

    • 複数回にわたるそのような虚偽提出が確認されたこと。

  • 法的根拠とペナルティ

    • 法務省・出入国在留管理庁の規定に基づき、「登録支援機関に関する運用要領」等で定められた虚偽届出等が許可取り消し理由となる。

    • 許可取り消し後は、5年間再登録ができない規定あり。

      実務的教訓:チェックすべきポイント

チェック箇所

内容

署名・本人確認

書類上の署名欄は必ず本人自筆であること。代理署名や代筆は原則禁止。代理でどうしても必要なら「代理である旨」「理由」「代理者の氏名と関係性」記載。

書類作成プロセスの透明性

承認フロー(誰が書類をチェックし、誰が署名依頼をしたか)のログを残す。写真やPDFのバックアップも必須。

内部監査および研修

書類・支援計画書の作成担当者に定期的な研修。虚偽・偽装行為のリスク認知を組織文化にする。

社員・契約関係者との合意取得

支援契約書・支援計画書の中で「署名義務」「虚偽申告禁止」の条項を明記する。本人承諾を証拠として保管。

定期的な法令チェック

運用要領・法務省出入国在留管理庁のガイドライン改定をチェックし、自組織の書類フォーマットをアップデートする。

文書保管と監査証拠

書類や支援計画書、申請・提出の控え、署名済み紙またはPDF等を整理・保管。内部・外部監査に耐える状態を維持。

結びに

グランウェイ事件は、「許可を取った後」での小さな不正が、組織そのものの存続に関わる」という重大な教訓を残しました。あなたの会社/支援機関として求められるのは、「透明・法令順守」「書類の真正性」「支援義務の忠実な履行」です。

もし、貴社で「書類運用チェックリスト」または「支援機関の再登録可能性」などの監査対策をおすすめします。

 
 
 

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